平成13年10月22日午前3時頃から4時頃(日本時間)にかけて、 北海道にある名古屋大学太陽地球環境研究所の陸別総合観測室で、 発達中の磁気嵐中において低緯度オーロラを観測した。 このオーロラはこの日の明け方1時48分(日本時間)から始まった 磁気嵐の主相において発生している。このオーロラの最大の明るさは 観測終了時の午前4時で約1000R(レイリー、明るさの単位、 観測波長は酸素原子の発光輝線である630nm)であった。陸別では 私設陸別天体観測所の津田浩之さんが肉眼で確認され、 銀河の森天文台ではNHKの方がハイビジョン撮影に成功されたようです。 翌22ー23日の晩も、陸別・母子里で北の空に赤い光が見えている。 陸別は雲が若干かかっているために、全天カメラ、フォトメータのデータでは 雲との見分けがつきにくい。 観測は掃天フォトメータ、全天カメラ(魚眼レンズ付き)、磁力計、 固定型フォトメータを用いて行われた。以下にその図を示す。
1. Photometer Plot 掃天フォトメータのデータ。観測波長はオーロラの630nmの光(酸素原子) で、グラフの下の方が北、上の方が 南の光の強さを表す(天頂角は図の左に示した)。630nmの光の 強さが、明け方3時から4時過ぎに向けて、北の方角で、急激に 明るくなるのがわかる。2. All-Sky Images in False-Color at Rikubetsu 陸別で、波長630nmの発光を全天カメラでとらえた画像。 光の強さを疑似カラー表示で表す。 魚眼レンズの像なので、上が北。左が東。右が西、下が南。画面の中心が天頂。 17時UT頃(日本時間で2時頃)から空全体が明るくなり始め、 18時UT頃(日本時間で3時頃)から北の方角(画面の上)に オーロラに伴う増光が見える。露出は2分45秒。 画面の上に出ている時刻はUT(グリニッジ 標準時)なので、日本時間に直すには9時間加える。画面の右上(北西)の 方向に見えるのは、陸別の街明かり。3. Animation of All-Sky Images in Realistic Color at Rikubetsu 波長630nmの発光を全天カメラでとらえた動画像。光の強さを赤い色の強さで表す。 魚眼レンズの像で、上が北。左が東。右が西、下が南。画面の中心が天頂。 18時UT過ぎ(日本時間3時過ぎ)から北の方角(画面の上)に オーロラに伴う増光が見え、明け方に向けてだんだん明るくなる のがわかる。露出は2分45秒。画面の上に出ている時刻はUT(グリニッジ 標準時)なので、日本時間に直すには9時間加える。最後の方に東側 (左側)に見えるのは、明け方の薄明光。4. Magnetic Field and A Northward-Looking Photometer at Moshiri 同じ日に陸別から約150km離れた名古屋大学太陽地球環境研究所の 母子里観測所で観測された磁場変化(時刻はUT)と、 北の方向地平線から20度を見ているフォトメータのデータ。 16時48分UT(日本時間の1時48分)から磁気嵐が始まり、 H成分(北向き成分)が大きく減少しているのがわかる。母子里の フォトメータでは、オーロラは見えていない。5. Magnetic Field and A Northward-Looking Photometer at Rikubetsu 陸別で観測された磁場変化(時刻はUT)と、北の方向 地平線から20度を見ているフォトメータのデータ。母子里と同様に 16時48分UT(日本時間の1時48分)から磁気嵐が始まり、 H成分(北向き成分)が大きく減少している。20時以降、データが 直線になっているのは、ファイルの中断の関係で、実際のデータは これ以降も取得している。フォトメータのデータには、630nmの 光が18時UT以降、約1kR(1000レイリー)まで増大している のがわかる。**************************** これ以降、10月22日の晩のデータを示す。 ****************************6. Photometer Plot 掃天フォトメータのデータ。観測波長はオーロラの630nmの光(酸素原子) (太い実線)と大気光の839.9nm及び843.0nmの光(OH分子、 細い実線と点線)。グラフの下の方が北、上の方が 南の光の強さを表す(天頂角は図の左に示した)。630nmの光の 強さが、北の方角で全体的に明るくなっている。この光の強さの変動は、 OH分子の光の強さの変動とよく似ているので、雲の動きによるもの と思われる。7. All-Sky Images in False-Color at Rikubetsu 陸別で、波長630nmの発光を全天カメラでとらえた画像。 光の強さを疑似カラー表示で表す。 魚眼レンズの像なので、上が北。左が東。右が西、下が南。画面の中心が天頂。 画面の右上(北西)の方向に見えるのは、陸別の街明かり。 15時UT以降、北(画面の上の端)に見える明かりがオーロラ光と 思われるが、右上からのびる陸別の街明かりと区別しにくい。 露出は2分45秒。画面の上に出ている時刻はUT(グリニッジ 標準時)なので、日本時間に直すには9時間加える。8. Magnetic Field and A Northward-Looking Photometer at Moshiri 10月22日に陸別から約150km離れた名古屋大学太陽地球環境研究所の 母子里観測所で観測された磁場変化(時刻はUT)と、 北の方向地平線から20度を見ているフォトメータのデータ。 観測開始直後(9時40分UT頃)に、630nmの光が若干増光しているのがわかる。 前日から続いている磁気嵐の回復相において、新たな磁気嵐が9時30分UT頃から 始まっている。9. Magnetic Field and A Northward-Looking Photometer at Rikubetsu 陸別で観測された磁場変化(時刻はUT)と、北の方向 地平線から20度を見ているフォトメータのデータ。Special thanks to: 陸別町銀河の森天文台 花野和生様(名古屋大学太陽地球環境研究所・陸別総合観測室)
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