北海道で観測された低緯度オーロラ (2001年11月06日)




平成13年11月06日午後9時から翌7日午前1時頃(日本時間)にかけて、
北海道にある名古屋大学太陽地球環境研究所の母子里観測所および陸別総合
観測室で、大きな磁気嵐の回復相において、低緯度オーロラによると
思われる波長630nmの赤い発光を、北の空に観測した。
このオーロラはこの日の午前10時51分(日本時間)から始まった
磁気嵐の回復相において発生している。このオーロラの最大の明るさは
午後9時40分頃で約4kR(キロレイリー、明るさの単位、
観測波長は酸素原子の発光輝線である630nm)であった。
母子里のビデオカメラのデータによると、この時はところどころに雲があるが、
星は見えていた。

 母子里の観測は、北の地平線から20度の位置を見ている
固定型フォトメータと、高感度ビデオカメラ(可視域)、磁力計。
以下にその図を示す。


1. Magnetic Field and A Northward-Looking Photometer at Moshiri 
北の方向地平線から20度を見ているフォトメータのデータ(上の図)と
磁場変化(下の図)。時刻はUT(日本時間にするには9時間加える)。
名古屋大学太陽地球環境研究所の母子里観測所で観測。
12−13UTと15−16UTに、波長630nmの光が約5kRまで
増光している。この日は空に月が出ているが、他の波長(557.7nm:緑、
427.8nm:青)の光は増光していないことから、低緯度オーロラに
よる増光と思われる。磁力計のデータ(北向きH成分はスケールをはずれて
いる)から、この晩は磁気嵐が起きていることがわかる。

2. Magnetic Field and A Northward-Looking Photometer at Rikubetsu  
陸別で観測された磁場変化(時刻はUT)と、北の方向
地平線から20度を見ているフォトメータのデータ。磁場データには、
磁気嵐による北向きH成分の減少がはっきりわかる。
フォトメータの630nmのデータはところどころで1kRほど増光して
おり(例えば12UT付近)、他の波長では増光していないので、
母子里と同様にオーロラを見ている可能性があるが、断定は難しい。






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