北海道で観測された低緯度オーロラ (2004年11月8日)


平成16年11月8日17時半ー20時(日本時間)に かけて、北海道にある名古屋大学太陽地球環境研究所の 陸別観測所において、低緯度オーロラを観測した。 このオーロラは8日の午前03時頃(日本時間)から始まった 磁気嵐の回復相に発生している。 このオーロラの最大の明るさは、観測開始時で 約2.2kR(キロレイリー、明るさの単位、北の地平線から 20度の位置、観測波長は酸素原子の発光輝線630nm)であった。 また午後20−22時(日本時間)には、陸別上空で 北から南に伝搬する非常に強い大規模伝搬性電離圏擾乱(LSTID)も 観測された。このLSTIDは滋賀県信楽町の全天カメラでも 少し時間が遅れで観測されている。  名古屋大学太陽地球環境研究所の観測は掃天フォトメータ(陸別)、 磁力計(陸別、母子里)、高感度全天カメラ(陸別)、高感度 カメラ(母子里)、固定型フォトメータ(母子里、陸別)などを 用いて行われている。以下に陸別のフォトメータデータ、 母子里観測所(陸別より150km北西)で得られた磁力計データ、 滋賀県信楽町で得られた全天カメラデータを示す。

2004年11月8日17時25−30分、北海道陸別町、 私設陸別天体観測所から北の空を撮影。 レンズ16mm, f2.8開放。 撮影:私設陸別天体観測所所長・津田浩之さん


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オーロラと低緯度オーロラのかんたんな解説

1. Photometer Plot 
陸別の掃天フォトメータのデータ。観測波長はオーロラの630nmの光
(酸素原子)で、グラフの下の方が北、上の方が
南の光の強さを表す(天頂角は図の左に示した)。観測開始の時間帯、
630nmが北の方角で明るくなっている。最大の明るさは観測開始時で
2.2kR。20ー22時には、北から南に向けて増光が移動している
(ピークの位置が移動している)のがわかり、磁気嵐に伴って
発生した大規模伝搬性電離圏擾乱(LSTID)
と思われる。その明るさは天頂で1kRに達している。

2. Magnetic Field at Moshiri  
母子里で観測された磁場変化(時刻はUT、日本時間ー9時間)。
前日から始まった磁気嵐の回復相で、磁場のH成分(北向き成分)が
徐々に正に戻っている。

3. All-Sky Images in False-Color at Shigaraki (630nm) 
滋賀県信楽町で、波長630nmの発光を全天カメラでとらえた画像。
光の強さを疑似カラー表示で表す。時刻はUT(日本時間ー9時間)。
魚眼レンズの像なので、上が北。左が東。右が西、下が南。画面の中心が天頂。
露出は2分45秒。大規模伝搬性電離圏擾乱(LSTID)が、630nm大気光の
増光として、12−14時UT頃(日本時間21−23時)に観測されている。


Special thanks to: りくべつ宇宙地球科学館(銀河の森天文台)
          花野和生様(名古屋大学太陽地球環境研究所・陸別観測所)
          瀬良正幸様、池神優司様(名古屋大学太陽地球環境研究所・母子里観測所)


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