北海道で観測された低緯度オーロラ (2000年11月7日)




平成12年11月7日午前0−5時(日本時間)にかけて、北海道にある
名古屋大学太陽地球環境研究所の陸別総合観測室で、赤い低緯度オーロラの
観測に成功した。このオーロラは前日から続く磁気嵐に伴って発生している。
オーロラの最大の明るさは午前5時で約2.2kR(キロレイリー、
明るさの単位)であったが、この時間で夜明けのために観測を
終了しているので、この時間以降にもっと明るくなった可能性もある。
オーロラは陸別の北の空に現れている。同様のオーロラは今年4月6日、7日
にも現れており、11年周期の太陽活動が極大になると共に、日本で見られる
オーロラの発生頻度も上がってきたと思われる。
 観測は掃天フォトメータ、全天カメラ(魚眼レンズ付き)、磁力計、
固定型フォトメータを用いて行われた。以下にその図を示す。
今回のオーロラは肉眼では
見えない明るさである(肉眼で見える波長630nmの赤い
光の明るさは個人差はあるが10kR程度。それに対し、
今回のオーロラの最大の明るさは2.2kR)。


1. Photometer Plot                    
掃点フォトメータのデータ。北の方向で明るさが最大で2.2kRまで
達している。この時間(午前5時)で観測が終了しているので、この
後の変化は不明。

2. Animation in a Realistic Color  
630nmの赤い光のみを撮った全天カメラの画像。
上が北。左が東。右が西、下が南。画面の中心が天頂。
魚眼レンズの像である。北の地平線(画面の
上の端)に明るい発光が見える。実際に見える色に
近くして色を付けてある。画面の上に出ている時刻はUT(グリニッジ
標準時)なので、日本時間に直すには9時間加える。
後半の時間帯に、東(画面の左側)が明るくなるのは、
明け方の薄明光のためであり、オーロラではないので注意。
露出は2分45秒。 波長630nmの赤い光のみを
光学フィルターを通して撮影している。
画像処理により、実際のものに近い色をつけて光の強さを表している。


3. All-Sky Images in False-Color 
波長630nmの発光を全天カメラでとらえた画像。光の強さを疑似カラー表示で表す。
魚眼レンズの像なので、上が北。左が東。右が西、下が南。画面の中心が天頂。
北の地平線近く(画面の上の端)にオーロラに伴う増光が見える。
後半の時間帯に、東(画面の左側)が明るくなるのは、
明け方の薄明光のためであり、オーロラではないので注意。
露出は2分45秒。画面の上に出ている時刻はUT(グリニッジ
標準時)なので、日本時間に直すには9時間加える。

4. Magnetic Field and A Northward-Looking Photometer 
11月6−7日に陸別で観測された磁場変化(時刻はUT)と、北の方向地平線から
20度を見ているフォトメータのデータ。中規模の磁気嵐が
おきていることがわかる。フォトメータのデータからは、観測の
後半で波長630nmの光の強さが増していることが分かる。






Special thanks to: 陸別町銀河の森天文台
            花野和生様(名古屋大学太陽地球環境研究所・陸別総合観測室)

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