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平成13年11月24日午後9時から翌25日午前1時頃(日本時間)にかけて、 北海道にある名古屋大学太陽地球環境研究所の陸別総合観測室、 母子里観測所、および、滋賀県信楽町にある京都大学宙空電波科学研究センター 信楽MU観測所において、赤い低緯度オーロラを観測した。 このオーロラは24日の午後2時56分(日本時間)から始まった 磁気嵐の主相において発生している。このオーロラの最大の明るさは 母子里観測所で約4kR(キロレイリー、明るさの単位、北の地平線から20度の位置、 観測波長は酸素原子の発光輝線である630nm)、陸別総合観測室で 約3kR、信楽では地平線近くで約0.3kRであった。陸別では 私設陸別天体観測所の津田浩之さん他の方が肉眼で確認され、写真(上記)の撮影にも成功した。 名古屋大学太陽地球環境研究所の観測は掃天フォトメータ(陸別)、 全天カメラ(魚眼レンズ付き、陸別、信楽)、磁力計(陸別、母子里)、 固定型フォトメータ(陸別、母子里)を用いて行われた。以下にその図を示す。
1. Magnetic Field and A Northward-Looking Photometer at Rikubetsu 陸別で観測された磁場変化(時刻はUT)と、北の方向 地平線から20度を見ているフォトメータのデータ。 5時56分UT(日本時間の午後2時56分)から磁気嵐が始まり、 H成分(北向き成分)が大きく減少している。上段のフォトメータのデータは、 12−16時UT(日本時間21−01時)に、波長630nmの 赤い光のみが最大約3kR増光していることがわかる。 このオーロラが現れている時は、磁場のH成分(南北成分)が大きく 変動し、磁気嵐中のサブストームが起きていることがわかる。2. Magnetic Field and A Northward-Looking Photometer at Moshiri 同じ日に陸別から北東に約150km離れた名古屋大学太陽地球環境研究所の 母子里観測所で観測された磁場変化(時刻はUT)と、 北の方向地平線から20度を見ているフォトメータのデータ。 陸別と同様に5時56分UT(日本時間の午後2時56分)から磁気嵐が始まり、 12−16時UT(日本時間21−01時)に、波長630nmの 赤い光の低緯度オーロラが現れている。最大約4kRまで増光している。3. All-Sky Images in False-Color at Rikubetsu 陸別で、波長630nmの酸素原子の発光を全天カメラでとらえた画像。 光の強さを疑似カラー表示で表す(波長630nmの光は肉眼では赤く見える)。 魚眼レンズの像なので、上が北。左が東。右が西、下が南。画面の中心が天頂。 この晩の前半は空に月があったため、観測は25日の午前0時(15時UT) から開始している。観測開始時には北の空から天頂にかけて明るい発光が あり、オーロラが現れているのがわかる。この光は、フォトメータのデータ からもわかるようにだんだん弱くなるが、観測終了の明け方19時UT (日本時間04時)まで、地平線近くに存在していることがわかる。 露出は2分45秒。4. Animation of All-Sky Images in Realistic Color at Rikubetsu 陸別において、波長630nmの発光を全天カメラでとらえた 動画像。光の強さを赤い色の強さで表す。 魚眼レンズの像で、上が北。左が東。右が西、下が南。画面の中心が天頂。 この晩の前半は空に月があったため、観測は25日の午前0時(15時UT) から開始している。観測開始時には北の空から天頂にかけて明るい発光が あり、オーロラが現れているのがわかる。この光は、フォトメータのデータ からもわかるようにだんだん弱くなるが、観測終了の明け方19時UT (日本時間04時)まで、地平線近くに存在していることがわかる。 露出は2分45秒。5. All-Sky Images in False-Color at Shigaraki 滋賀県信楽町の京都大学宙空電波科学研究センターで、 波長630nmの酸素原子の発光を全天カメラでとらえた画像。 光の強さを疑似カラー表示で表す(波長630nmの光は肉眼では赤く見える)。 魚眼レンズの像なので、上が北。左が東。右が西、下が南。画面の中心が天頂。 この晩の前半は空に月があったため、観測は25日の午前1時(16時UT) から開始している。観測開始直後の16−17時UT(日本時間の 25日午前1−2時)に北の地平線近くに発光が あり、オーロラが現れているのがわかる。 17−18時UT(日本時間の2−3時)には、北から南へ伝搬する ような大きな構造も見える。露出は2分45秒。6. North-South Cross Section of All-Sky Images at Shigaraki 上記5の信楽町の630nm全天カメラ画像を南北に輪切りにし、 時間的に並べた図。光の強さを疑似カラー表示で表す。 観測開始直後の16−17時UT(日本時間の 25日午前1−2時)に北の地平線近くに発光が あり、オーロラが現れているのがわかる。 17−18時UT(日本時間の2−3時)には、北から南へ伝搬する ような大きな構造が見える。7. Animation of All-Sky Images in Realistic Color at Shigaraki 信楽において、波長630nmの発光を全天カメラでとらえた 動画像。光の強さを赤い色の強さで表す。 魚眼レンズの像で、上が北。左が東。右が西、下が南。画面の中心が天頂。 この晩の前半は空に月があったため、観測は25日の午前1時(16時UT) から開始している。観測開始直後の16−17時UT(日本時間の 25日午前1−2時)に北の地平線近くに発光が あり、オーロラが現れているのがわかる。 露出は2分45秒。Special thanks to: 陸別町銀河の森天文台 花野和生様(名古屋大学太陽地球環境研究所・陸別総合観測室) 瀬良正幸様、池神優司様、池神ヨシ子様(名古屋大学太陽地球環境研究所・母子里観測所) 京都大学宙空電波科学研究センター
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