北海道で観測された低緯度オーロラ (2023年11月05日)


2023年11月6日午前2時36分、陸別町ポントマムの北海道-陸別HFレーダーサイトで 撮影された低緯度オーロラの写真。左側で地平線近くに雲が赤くなっているのが オーロラの発光。右側の地平線近くに見える白い光は遠くの街明かりの雲の反射。 提供:名古屋大学宇宙地球環境研究所 西谷望准教授。

2023年11月06日午前2時25分から3時30分頃(日本時間、グリニッジ標準時では11月5日
17:25-18:30)にかけて、北海道にある名古屋大学宇宙地球環境研究所の陸別観測所で、
磁気嵐に伴う低緯度オーロラを観測した。このオーロラは前日の18時過ぎに開始した
磁気嵐の主相に伴って発生している。このオーロラの最大の明るさは、酸素原子の
発光輝線である波長630nmの赤い光で約1 kR(キロレイリー、明るさの単位)、であった。

観測は北の空を見ている3波長フォトメータと磁力計で行われた。空に月が出ている
時間帯ですので、高感度全天カメラと天頂付近を見ている分光温度フォトメータや
掃天フォトメータは動作していなかった。以下にその図を示す。


1. Magnetic Field and A Northward-Looking Photometer at Rikubetsu
11月5日に陸別で観測された磁場変化と、北の方向地平線から15度を見ている
フォトメータのデータ。下の3つのパネルは地磁気のH, D, Z(北向き、東向き、
下向き)成分。時刻はUniversal Time(UT, 日本時間(JST)-9時間)。11月5日の
09:00 UT (日本時間18:00 JST)に北向き成分が急に上昇して磁気嵐が始まり、
17:00 UT (11月6日 02:00 JST)に北向き成分が急上昇(おそらく磁気圏サブストームが開始)
した直後、17:25 UT (02:25 JST)頃から、波長630.0 nmの赤い光の発光だけ、
1 kR近く上昇していることが分かる。他の波長557.7 nm(緑)、427.8 nm (青)
には対応する変化が見られないので、この赤い光の増光は月明りや街明かりの
反射ではないことがわかる。
観測開始直後(08:20 UT)と終了直前(20 UT付近)で明るくなっているのは
オーロラではなく太陽の薄明光と思われる。

2. Photo by a color camera in the northern sky of Rikubetsu  
カラーカメラで11月6日の明け方に陸別町銀河の森天文台から撮影された北の空の
連続写真。薄い雲が東に向かって移動しており、その中で雲が赤く光っている。
おそらくオーロラの発光を雲が反射・散乱して赤く光っていると思われる。
地平線近くの緑の光は街明かり。陸別町銀河の森天文台提供。

Special thanks to: 陸別町銀河の森天文台
     横関信之様(名古屋大学宇宙地球環境研究所・陸別観測所)

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