北海道で観測された弱い低緯度オーロラ (2024年6月28日)


2024年6月28日日本時間の午後10-11時、、陸別町ポントマムの北海道-陸別HFレーダーサイトで撮影された低緯度オーロラの写真。10-11時の1時間の11枚の連続画像において、各画像ピクセルの11枚の中央値を取っている。赤く光っているのがオーロラの発光。提供:名古屋大学宇宙地球環境研究所 西谷望准教授。


2024年6月28日午後10時から翌日01時頃(日本時間)にかけて、北海道にある名古屋大学
宇宙地球環境研究所の母子里観測所及び陸別観測所で、磁気嵐に伴う弱い低緯度オーロラを
観測した。このオーロラは前日から開始していた磁気嵐の主相から回復相にかけて
発生している。このオーロラの最大の明るさは、酸素原子の発光輝線である波長630nmの
赤い光で母子里・陸別観測所で約0.3 kR(キロレイリー、明るさの単位)、であった。

観測は磁力計(陸別、母子里)、北の空を見ている3波長フォトメータ(陸別、母子里)を
用いて行われた。以下にその図を示す。


1. Magnetic Field and A Northward-Looking Photometer at Rikubetsu on June 28, 2024
6月28日に陸別で観測された磁場変化(時刻はUT)と、北の方向地平線から
15度を見ているフォトメータによる北の空の明るさ。下の3つのパネルは地磁気の
H, D, Z(北向き、東向き、下向き)成分。最初から地磁気が大きく変動しており、
磁気嵐の最中であることが分かる。

上の3つのパネルは北の地平線から15度の方角を見ている3波長フォトメータのデータ。
波長630nmの赤い光(上から3番目のパネル)の明るさが13UT(日本時間の22時)過ぎと
15UT(日本時間の24時)過ぎに若干、上昇していることが分かる。増光の最大値は
15:30UT頃で大きさは0.3kR程度。同時に観測している波長557.7nmの緑の光や波長427.8nmの
青い光(上から1番目と2番目のパネル)にはこのような増光は見られない。
これだけではオーロラであるかどうか分からないが、次に示す母子里のフォトメータでも
同じ時刻に増光しており、冒頭に示した写真でも11枚の画像処理の結果、
赤く写っていることから、オーロラであると判断した。

2. Magnetic Field and A Northward-Looking Photometer at Moshiri on June 28, 2024
6月28日に母子里で観測された磁場変化(時刻はUT)と、北の方向地平線から15度を見ている
フォトメータによる北の空の明るさ。地磁気の変動は陸別で見えるものとほぼ同じ。
上の3つのパネルは北の地平線から15度の方角を見ている3波長フォトメータのデータ。
陸別のフォトメータよりノイズが大きいが、陸別と同じように、波長630nmの赤い光
(上から3番目のパネル)の明るさが13UT(日本時間の22時)過ぎと15UT(日本時間の24時)過ぎに
若干、上昇していることが分かる。増光の最大値は15:30UT頃で大きさは0.3kR程度。
同時に観測している波長557.7nmの緑の光や波長427.8nmの青い光(上から1番目と2番目のパネル)には
このような増光は見られない。
Special thanks to: 陸別町銀河の森天文台    横関信之様(名古屋大学宇宙地球環境研究所・陸別観測所)    池神優司様(名古屋大学宇宙地球環境研究所・母子里観測所)     加藤泰男様(名古屋大学全学技術センター)     山本優佳様(名古屋大学全学技術センター)     足立匠様(名古屋大学全学技術センター)

塩川のページに戻る
電磁気圏研究部ホームページ
銀河の森天文台のホームページへ