北海道で観測された低緯度オーロラ (2024年11月9日)


2024年11月9日21時22分(日本時間)、陸別町ポントマムの北海道-陸別HFレーダーサイトで 撮影された低緯度オーロラの写真。地平線近くで赤く光っているのがオーロラの発光。 提供:名古屋大学宇宙地球環境研究所 西谷望准教授。


2024年11月9日22時から23時(日本時間)にかけて、北海道にある名古屋大学宇宙地球環境研究所の
母子里観測所及び陸別観測所で、磁気嵐に伴う低緯度オーロラを観測した。このオーロラは09日の
午前04時半頃から開始した弱い磁気嵐の主相の終了時のサブストームに伴って発生している。
このオーロラの最大の明るさは、酸素原子の発光輝線である波長630nmの赤い光で母子里観測所で
約0.32kR(キロレイリー、明るさの単位)、であった。

北の空を見ている3波長フォトメータ(陸別、母子里)と磁力計(陸別、母子里)、カラーカメラ(陸別)
を用いて行われた。陸別の高感度全天カメラはカメラの不調でデータが取れていない。以下にその図を示す。


1. Magnetic Field and A Northward-Looking Photometer at Moshiri on November 9, 2024
11月9日に母子里で観測された磁場変化(時刻はUT、日本時間ー9時間)と、北の方向地平線から
15度を見ているフォトメータによる北の空の明るさ。下の3つのパネルは地磁気の
H, D, Z(北向き、東向き、下向き)成分。11月9日8-12 UTにH成分が大きく減り続けており、
磁気嵐が発達しつつある主相であることが分かる。その後、12-13 UTに急にH成分が正に振れて、
磁気嵐の主相の終了時によく見られるようにサブストームが発生していることがわかる。

上の3つのパネルは北の地平線から15度の方角を見ている3波長フォトメータのデータ。
波長630nmの赤い光(上から3番目のパネル)の明るさが、このサブストームの発生に伴って
12-13UTに0.3kRほど上昇しており、カラーカメラで撮影された赤いオーロラの画像に対応した
増光を示している。同時に観測している波長557.7nmの緑の光や波長427.8nmの青い光
(上から1番目と2番目のパネル)にはこのような増光はほとんど見られない。

2. Magnetic Field and A Northward-Looking Photometer at Rikubetsu on November 9, 2024
11月9日に陸別で観測された磁場変化(時刻はUT)と、北の方向地平線から15度を
見ているフォトメータによる北の空の明るさ。地磁気の変動は母子里で見えるものと
ほぼ同じ。上の3つのパネルは北の地平線から15度の方角を見ている3波長フォトメータの
データ。母子里のフォトメータのデータと同じように、12-13 UTに波長630nmの赤い光の
明るさが、0.3kRほど上昇していることがわかる。母子里と陸別というまったく異なる場所で
ほぼ同時に増光していることは、大きなスケールで発生する低緯度オーロラの特徴に一致する。
同時に観測している波長557.7nmの緑の光(上から2番目のパネル)にも若干の増光が見られる。
Special thanks to: 陸別町銀河の森天文台    横関信之様(名古屋大学宇宙地球環境研究所・陸別観測所)    池神優司様(名古屋大学宇宙地球環境研究所・母子里観測所)     加藤泰男様(名古屋大学全学技術センター)     山本優佳様(名古屋大学全学技術センター)     足立匠様(名古屋大学全学技術センター)

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