北海道で観測された低緯度オーロラ (2025年1月1日)
Low-Latitude Aurora of January 1, 2025



2025年1月1日23時48分(日本時間)、陸別町ポントマムの北海道-陸別HFレーダーサイトで 撮影された低緯度オーロラの写真。提供:名古屋大学宇宙地球環境研究所 西谷望准教授。
2025年1月2日02時48分(日本時間)、陸別町ポントマムの北海道-陸別HFレーダーサイトで 撮影された低緯度オーロラの写真。提供:名古屋大学宇宙地球環境研究所 西谷望准教授。


2025年1月1日21時半から1月2日06時(日本時間)にかけて、北海道にある名古屋大学宇宙地球環境研究所の
母子里観測所及び陸別観測所で、磁気嵐に伴う低緯度オーロラを観測した。このオーロラは1月1日の午前02時頃から開始した弱い磁気嵐の主相から回復相において発生している。
このオーロラの最大の明るさは、酸素原子の発光輝線である波長630nmの赤い光で母子里観測所で
約4kR(キロレイリー、明るさの単位)、陸別観測所で約3kRであった。

観測は北の空を見ている3波長フォトメータ(陸別、母子里)と磁力計(陸別、母子里)、カラーカメラ(陸別)
を用いて行われた。以下にその図を示す。


1. Magnetic Field and A Northward-Looking Photometer at Rikubetsu on January 1, 2025
1月1日に陸別で観測された磁場変化(時刻はUT、日本時間ー9時間)と、北の方向地平線から15度を
見ているフォトメータによる北の空の明るさ。下の3つのパネルは地磁気のH, D, Z
(北向き、東向き、下向き)成分。1月1日9-15 UTにH成分が大きく減り続けており、
磁気嵐が発達しつつある主相であることが分かる。その後、15-21 UTに急にH成分が正に振れて、
磁気嵐が回復相に転じていることがわかる。

上の3つのパネルは北の地平線から15度の方角を見ている3波長フォトメータのデータ。
波長630nmの赤い光(上から3番目のパネル)の明るさが、12:30UT以降に急激に何度も上昇しており、
カラーカメラで撮影された赤いオーロラの画像に対応した増光を示している。
同時に観測している波長557.7nmの緑の光や波長427.8nmの青い光(上から1番目と2番目のパネル)
にはこのような増光はほとんど見られない。

2. Magnetic Field and A Northward-Looking Photometer at Moshiri on January 1, 2025
11月9日に母子里で観測された磁場変化(時刻はUT)と、北の方向地平線から
15度を見ているフォトメータによる北の空の明るさ。地磁気の変動は陸別で見えるものと
ほぼ同じ。上の3つのパネルは北の地平線から15度の方角を見ている3波長フォトメータの
データ。陸別のフォトメータのデータに比べて変動ががたがたしているのは、天気が曇ったり
晴れたりを繰り返していた可能性がある。全体的に波長630nmの赤い光の明るさが、装置の
観測開始時・終了時にみられるオフセットを除いて、最大で4kRまで上昇していることがわかる。
同時に観測している波長557.7nmの緑の光や波長427.8nmの青い光(上から1番目と2番目のパネル)
にも若干の増光が見られるが、雲の影響を受けている可能性がある。
Special thanks to: 陸別町銀河の森天文台    横関信之様(名古屋大学宇宙地球環境研究所・陸別観測所)    池神優司様(名古屋大学宇宙地球環境研究所・母子里観測所)     加藤泰男様(名古屋大学全学技術センター)     山本優佳様(名古屋大学全学技術センター)     足立匠様(名古屋大学全学技術センター)

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